最近の車のヘッドランプは、LEDヘッドランプが主流になってきています。
高級車はもちろん、安い車でもハイグレードの仕様にはLEDヘッドランプが
採用されていることが多いです。
一昔前は、HIDやディスチャージヘッドランプと呼ばれるタイプのものや、
今でもローグレードの仕様にハロゲンヘッドランプが採用されていたりと、
ヘッドランプにもいくつか種類があります。
また、『LED』『HID』『ハロゲン』のような光源の種類以外にも
ヘッドランプの種類は分類することができるのでまとめてみたいと思います。
ヘッドランプ
ヘッドランプは、車で走行する際に前方を明るく照らすためのランプで、
ヘッドライトや前照灯とも呼ばれます。
ヘッドランプには、近くを照らすロービームと遠くを照らすハイビームがあり、
普段はロービームのみを使っていることが多いと思いますが、
本来、走行時に車の前方を照らすランプはハイビームになります。
ハイビームは、走行用前照灯などとも呼ばれ、
100m先まで確認することができるランプになります。
それに対しロービームは、すれ違い用前照灯などとも呼ばれ、
40m先まで確認することができるランプになります。
ロービームは、『すれ違い用』と呼ばれる通り、
ランプが下向きになっているため、対向車や歩行者が眩しく感じることがない分、
遠くまで照らすことができません。
ハイビームとロービームは、同じランプで向きなどを切り替える構造の2灯式ヘッドランプ、
独立した構造の4灯式(多灯式)ヘッドランプがあります。
光源の種類
光源の種類は、『LED』『HID』『ハロゲン』の3種類になります。
ハロゲンヘッドランプ
ハロゲンヘッドランプは、ハロゲンバルブを使用していて、
白熱電球と同じようにフィラメントに通電することで発熱発光します。
ハロゲンバルブ内には、ハロゲンガスが封入されていて
フィラメントの消耗や黒化現象を防ぐことができるため、バルブの寿命を延ばしたり、
流せる電流を大きくして明るくしたりすることができます。
ハロゲンヘッドランプは価格が安いということもあり、
価格の安い車にはまだまだ採用されていることが多いです。
HIDヘッドランプ
HIDヘッドランプは、『ディスチャージヘッドランプ』や『キセノンヘッドランプ』とも呼ばれ、
HIDバルブを使用し放電現象を利用して発光します。
HIDは、『High Intensity Discharge lamp』の略です。
HIDバルブは、ハロゲンバルブに比べて非常に明るいので、
消費電力を抑えることができ寿命も長いです。
しかし、制御を行うための電子回路が必要になったり、
点灯直後は安定せず直ぐに明るくならないため、
4灯式(多灯式)ヘッドランプの場合にはハイビームに使用することができません。
LEDヘッドランプ
LEDヘッドランプは、LED(発光ダイオード)を使用し、
最近の高級車ではLEDヘッドランプが主流となっています。
LEDは、『Light Emitting Diode』の略です。
LEDは、寿命が非常に長く、消費電力も小さい上に、
光の色が白くきれいなので、見た目がかっこいいです。
また、点灯してから明るくなるまでに時間がかからないという特徴もあります。
LEDヘッドランプは、LED1灯で構成するのではなく、
多数のセグメントに分けられていることもあり、
小さなランプが並んでいるようなデザインになっていることも多いです。
配光の方法
光はいろいろな方向に拡散するため、必要な範囲のみを照らすように配光する必要があります。
配光の方法にはさまざまな種類があり、
光源の後方にリフレクター(反射鏡)を備え前面のカット入りレンズで配光を行うタイプをレンズ式、
細かな凹凸を備えたリフレクターだけで配光を行うタイプをリフレクター式、
小さなリフレクターを備え主に凸レンズで配光するタイプをプロジェクター式と呼びます。
先進技術
ヘッドランプについても、オートハイビーム(AHB)、アダプティブハイビームシステム(AHS)、アダプティブフロントライティングシステム(AFS)など、次々と新しい技術が開発されています。
オートハイビーム(AHB)
オートハイビーム(AHB)は、なんとなく想像はつくと思いますが、
ハイビームとロービームを自動で切り替えてくれるシステムです。
ヘッドランプをハイビームの状態で走行している際に、
カメラやセンサーで車両の前方に対向車のヘッドランプや先行車のテールランプを検知すると、
自動でロービームに切り替えてくれます。
そして、対向車や先行車がいなくなれば、またハイビームに自動で切り替えてくれるため、
自分でヘッドランプのレバーを操作することなく、視界を確保することができます。
とても便利な機能ではありますが、一部の車種では作動させるために
ヘッドライトのスイッチレバーをハイビームの位置にしておかなければ
ならないことがあります。
手の大きな男性でしたら気にならないかもしれませんが、
手の小さな女性の場合は、常にスイッチレバーがハンドルから離れた位置にあるので、
ウインカーの操作がしづらいかもしれません。
アダプティブハイビームシステム(AHS)
アダプティブハイビームシステム(AHS)は、オートハイビーム(AHB)を
進化させたようなシステムで、ヘッドランプの上下の向きを変えるのではなく、
照射範囲を自動制御するシステムです。
基本的には常にハイビームの状態で走行し、カメラやセンサーで
対向車のヘッドランプや先行車のテールランプを検知すると、
対向車や先行車に光が当たる部分だけを自動的に遮光してくれます。
部分的に遮光してくれるので、
例えば対向車が来た場合は、対向車のいる部分は遮光されますが、
自分が走行している車線の前方はハイビームの状態で照らしてくれます。
このシステムにはいくつかパターンがあり、
『アレイ式』と呼ばれるLED多灯型のヘッドライトを使い、それぞれのLEDを
オン・オフすることで照射範囲をコントロールするパターン、
『シェード式』と呼ばれる可動式のシェードにより照射範囲をコントロールするパターン、
『ブレードスキャン式』と呼ばれるLED光源をミラータイプのブレードに当て反射光で
前方を照らすヘッドライトを使い、照らしたくない部分だけオフにすることで
照射範囲をコントロールするパターンになります。
アダプティブフロントライティングシステム(AFS)
アダプティブフロントライティングシステム(AFS)は、オートハイビーム(AHB)や
アダプティブハイビームシステム(AHS)のようにハイビームとロービームを切り替える
システムではなく、スピードとステアリングの舵角に合わせて進みたい方向に
ヘッドランプのロービームを照射するシステムで、上下方向ではなく左右方向に
照射する範囲をコントロールする機能です。
例えば、山道の急カーブを曲がる場合、ヘッドランプは車両が向いている方向を
照らしているため、カーブの先は暗く見にくいです。
しかし、アダプティブフロントライティングシステム(AFS)を使えば、
ステアリングを切った方向にヘッドランプの向きが変わるので、
カーブの先を明るく照らしてくれるため、視界を確保することができます。
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